028910 ランダム
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第21部「右手」

21部 右手





崖の上  孫・春咲   02時23分
ーーーーー歩き過ぎたーーー
2人共体力的にも精神的にも限界が来ていた。
「はぁ・・・ヤベェ、疲れた・・・・」
「半端ねぇ・・・」
春咲が歩く。
その後をゆっくりと孫が着いて行く。
すぐ横は絶壁である。
孫はヒザに両手を置き息を付く。
ーーーーその時だった
【ガラッ】
「・・・ぁ?」
孫の右足のすぐ横の岩が少し崩れた。
足下を見回す・・・すると
その崩れた所に矢が刺さっていた。
「・・・矢?」
【ーーーヒュン】
「・・・!!」
孫の右頬を矢が掠めた。
その矢は下からのものだった。
孫の頬は切れ、血液が飛び散る。
・・・その反動だろう、孫は足を踏み外し、絶壁から下に落ちる。
「ぅああぁっ!!」
「・・・!?おっちゃん!!」
春咲が駆け寄るが時既に遅し。
孫は下へ落ちて行った・・・

川  孫   02時27分
【・・・・・バジャァッッ!!】
浅い川なんだろうか、孫は直接地面に叩き付けられるのと同じ衝撃だった。
川から崖まではおよそ8m。
『息がしずらぃ・・・・あばら何本か逝ったか・・・』
孫は岸に上がる。
そこには・・・女がいた。
手には、ボーガンがあった。
「残念☆」
笑った、そして孫に向かって走り出した。
・・・やはり孫は先の衝撃やらで思い通りに動けなかった。
【ジャラッ!!】
女は孫に足下の砂利を投げた。
「くっ・・・・!」
孫はよろけた。
「もらった・・・!」
女はボーガンを捨て、孫の頭を掴み、水の中に押し付ける。
【バシャッバシャッ!!】
孫の抵抗は水渋きをあげる、しかし抵抗空しく頭は水中から上がらない。
「・・・・・他愛無ぇ~・・・」
すると孫の首を足で踏む。
「ふぅー・・・おっけぇ♪」
そして孫の腹を思いきり蹴り、岸に上がる。
ボーガンを拾い、自分のバッグを担ぐ。
「さぁーってっと、次はどこ行こうかなぁー・・・」
そう言いながら林へ向かって行った。

崖の上  春咲   02時38分
「・・・・・あわわ、落ちちゃったょ・・・」
孫が落ちていった崖の下を覗いていた
ちらっと前を向く。
・・・人がいた。
「春咲か・・・」
そこにいたのは獏だった。
「獏・・・・」
春咲は・・・なぜかそいつが敵だと感知した。
「春咲、大人しく死んでくれると助かるんだが・・・」
「・・・テメェが死ぬんだょ」
「・・・ふっ」
【ジャララララ!!】
春咲はバッグから長くて重い鎖を出した。
「来いっ!」
獏は春咲に近付き、日本刀を抜く。
「!」
日本刀を振る。
しかし春咲は鎖を伸ばしガードする。
【ジャリッ!】
『斬れないか・・・』
「ラァッ!」
その直後に日本刀に鎖巻き付ける。
春咲はそれを引っ張る、そして手を放す。
日本刀と鎖は崖の下に落ちた。
「・・・くっ!」
獏は春咲に飛び回し蹴りをした。
春咲は両手を組みガードをした。
【ドッ!】
春咲は、崖の下に落とされた。
【べキャァッ!】
春咲はわざと左手だけで着地した。
ヒジからは骨が見えていた。
続いて獏も飛んだ。
【ジャァッ!!】
岸の玉砂利の場所に着地した。
「・・・へへ、やったぜ・・」
春咲は足下の日本刀を拾う。
「・・・お前はもう武器が無ぇ、俺の勝ちだ!」
「・・・」
獏は無言でバッグから何かを出した。
「・・・その日本刀も拾いもんでね・・・」
「?」
「更に俺はもう1つ武器を拾ったんだょ・・・」
獏はその手に持ったものを川に投げ込む。
【バンッッ!!バババババッッバリバリバリッ!!!!】
「・・・・!!」
春咲から煙が上がる。
【バヂッバヂヂヂヂッッ!】
春咲は白眼を向いて倒れた。
「・・・・スタンガンだ」
獏は水に浮かぶ日本刀を拾い、鞘にしまった。
右手の機械を見てから、林の中へと入って行った。

室内プール前  新野・川道   03時28分
「・・・・あ」
沈黙の中、新野が口を開いた。
「どうしたの?」
「忘れた・・・中にバッグ忘れた」
新野は立ち上がり、行こうとした。
「ちょちょちょちょっ・・・俺が行くって」
「でも危ないょ」
「大丈夫、ドアのすぐ近くにある?」
「うん、あるはず」
「じゃあ・・・俺入る間、手掴んでて、んで危なくなったらトントンってやるから引っ張って」
「んー・・・OK」
新野は川道の手を掴む。
川道は中に入る。
『おっ・・・・あった、ホントすぐあった・・・・な・・・』
川道が右を見ると・・・何か音がした。
【スゥーーーーーッ】
『これって何の音だ・・・』
そう思った直後だった。

【バァァァァーーーン!!!!】

室内プールは爆発した、少し開いていたドアから少しずつ空気が入っていたのだろう。
「うわぁー!!」
新野はその場に倒れる、しかしケガは無い。
身体と顔が煤で黒くなった。
室内プールからは煙が立ち、全ての窓が割れていた。
「良かった・・・危なかった」
・・・新野は爆発があっても川道の手を握っていた。
「はは・・・ゴメン、バッチ。バッグあっ・・・」
新野が川道の手を引いた・・・そこには。
【ズルッ】
新野が掴んでいたそれは・・・川道の右手首までだった。
「ギャァーーーーー!!」
   ・・
新野はそれを捨て走った。

ーーー友達を殺したーーー

その罪は新野の中では本当にヤバかった。
走った。
しかし走っている最中でも・・・心臓が早かった。ものすごく。
「ハーーッハーーッハーーッハーーッ」
『俺ぁ・・・友達を2人も見殺しにした・・・!?』
新野はその場に止まる。
「・・・・・・っ」
膝を突いて地面を殴った。
「・・・っくそぉ・・・・」
新野の両手は・・・震えていた。






死亡者
A組男子 秋長 太子・川道 邦正  女子無し
B組男子 孫 元・春咲 丙太  女子無し
C組男子 無し  女子 吉賀 真奈美
D組男子 横海 侑来  女子無し

残り20人
残り24時間23分
鍵保持者 植杉





第5章   ーー The greatest betrayal ーー



民家E前  成琴   04時26分
「・・・・・」
扉の前に寄り掛かって座っていた。
バッグは1つだった。
「あ」
声が聞こえた。
成琴は見渡す。
「成琴さん・・・」
そこには小早川がいた。
「あ・・・良かった、今1人で怖かったの・・・」
成琴は怯えたように立ち上がり小早川に近付く。
「うん、私も1人で怖かった・・・一緒に行こう、成琴さん」
「・・・うん」
2人は歩き出した。

・・・・Troublesome woman

本部  立花   04時48分
スピーカーの音が鳴る。
『えっと・・・みなさんにもう1つ情報があります。みなさんの左手の機械を見てください。その機械に丸いレーダーのようなものが付いているでしょう。
それは自分の半径100mの範囲以内にいる人を感知する事ができる機械です、しかし今は電源が入っていません。
次の地盤沈下、0時に起こる地盤沈下が終わった直後から電源が入ります。
そうすれば不意打ちをされる心配が減ります。
ではお楽しみに』
スイッチを切る。





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